私たちが他の山に行くと言うときは、ハイキングではなくマウンテンバイクである。今日は外国人にも人気のある鋸山だ。鋸山は石を産出する石切り山だった。人が多い表鋸を避け、その昔切り出した石を女性たちが山車で運び下ろした車力道を自転車を担いで登り、裏鋸を縦走する。車力道は急な石段が続く。こんなところを本当に石を引きずり下ろしたのかと驚く道だ。今日、悔やんだのは足ごしらえだ。いつもは地下足袋なのだけれど、今年の地面の冷たさにひよってしまい、靴を履いてきてしまった。全く足の疲労が悪いほうに違うとともに、地下足袋のすごさをあらためて知る。リュックと違い自転車を担ぐにはバランスが必要だ。山だから当然急斜面を登る。しっかりと親指で地面をグリップすることが大切だ。靴だとこれができない。ふくらはぎに無理がかかり、疲労が倍増する感じだ。下りの階段とて同じだ。地下足袋で、山を登っている時には感じない足の疲れだ。あらためて地下足袋の素晴らしさを知った荒行であった。鋸山は石山なので、房総の山には珍しく急峻なアップダウが続きマウンテンバイクと言えども走行はほとんどできない。下山は林道を使う。ここからは、歩けばダラダラと2時間近く退屈な林道歩きとなるが、マウンテンバイクには壮快なご褒美が待っている。ダウンヒルで風を感じ海まで一気に滑降だ。